2012年02月20日

「演劇は仕事になるのか?」レポートその@

19日(日)に札幌市内で行われた「演劇は仕事になるのか?」著者 米屋尚子さんによる無料セミナーを聴講してきました。
著書の中ではもちろん、日本全体の演劇についてしか触れられていないので、特に「札幌」に特化したお話が聞けて
とてもとってもためになりました!

2時間に及ぶ充実じたセミナーでしたので、
これから数回にわけて、その模様をレポートしたいと思います。
※本セミナーは参加無料だったので、そしてセミナーの趣旨としても、札幌の演劇人みんなで共有しても問題ないかなと考えました。
というか、ぜひぜひ共有したいなっと思いました。
なお、同じく聴講された方で、私の書いた内容を加筆・修正などありましたら、教えていただけるととても嬉しいです。
まずは速報性をと思いアップしましたが、正確性を考慮して私自身も随時修正するかもしれません。
そのあたりは個人ブログであることを考慮していただいて、ご了承ください。


まずはレポートその@として、「助成」と「公益性」、のあたりから。
↓↓


「演劇は仕事になるのか?」
著者 米屋尚子さん セミナー 2012年2月19日(日) in シアターZOO

米屋さん自身について。
昔は演劇部に所属。演劇に興味はあったが、やる方になろうとは思っていなかった。
銀行員などを経験したが、クラシック音楽をやっている姉の影響で「どうしてお姉ちゃんだけ好きなことをやっているの!」と思い、
自分も好きな演劇の道に携わろうと思った。

96年から芸団協に所属。
ざまざまな演劇人や劇団と関わり、稽古の様子などを見せてもらううち、
「あんなにすばらしい舞台を創っている人たちが、こんなに生活苦な毎日を送っているなんて、本当にこれで良いの?」と思うように。
ピーター・ブルック「カルメン」来日の際には、「やっぱりピーター・ブルックはすごい!それに比べて日本の演劇は・・・」と、
有識者がこぞって取り上げたが、「いやいやいや、だって演劇を支える仕組みそのものが違うじゃないの、日本!」と感じた。

2001年の文化芸術振興基本法の制定に携わった米屋さん。
その調査に従事するにあたり、今の日本の助成制度は変だぞ、というのが見えて来た。

たとえば、予算の経常書?を提出しその「赤字なところを補填する」という助成のありかた。
これだと、たとえば100万円の助成金がほしいと思ったら、「200万円の赤字」を盛り込まなくてはならない。
で、その赤字をどうやって埋めてるのですか?という欄もあるから、
そこに「われわれがかき集めたり、借金したりしてなんとかします!」みたいなことを書かなくてはいけない。
しかも、公演を終えたあとはその「報告書」も領収書を添え「予算書」と同じように提出しなければならない。

米屋さんの知り合いの中小企業診断士に「会社だったら完全につぶれてますよね」と苦笑されたほどの、
このかつての(90年代)助成金制度。
今はこうしたあり方は少なくなってきてはいるが、
根底には、制度制定の際の「日本」の実態把握調査不足があったのではないかと米屋さんは考えている。

米屋さんが「日本の助成制度はこっちへ行くんじゃないかな」と思っている方向について。
民主党政権に代わり、「新しい”公共”」ということが掲げられてきた日本。
それは、大枠の方向性は行政がにない、そのための手段や方法は「民間」がになう、というありかた。
特に昨今では、人々のニーズも多様化し、行政が一元的に支援する、というのは難しくなっている。
だから行政を一方的に批判するのではなく、個々の演劇人が、おのおのに合ったやり方を模索していけばいいんじゃないのかな。
というか、そういう風になっていかざるを得ないだろう、と米屋さんは考える。

だが、このとき助成を受ける側の演劇人、劇団に問われるのは、「演劇の”公益性”」ということ。
特に「演劇って好きな人が好きなことを勝手にやってるんだろ?」と考える人々がまだ少なくない演劇においては、
助成自体が「まあがんばってるからたまにはあげよう」みたいな「ごほうび」的に扱われてきた風潮もかつてはあった。
今は「こういう社会にしてほしいから、あげる」という助成金の理念がだんだん明確になってきているから、
それをもらう演劇人の側も、その目的の趣旨を意識する必要がある。
※企業の協賛金をもらうにしても、「どうして演劇にこんなにお金が要るの?!」と言われることもあるから、
「なぜ社会に演劇が必要なのか」ということを説明できる必要がある。

そこでたとえば、北海道演劇財団はこの公益性ということに関して、
「民間で、パブリックで、複数」ということを掲げている。
今回の「演劇シーズン」の作品「かめ」の選定においても、かつて上演し好評であったものであり、
客層に幅があっても大丈夫な「間口の広い」ものをと考えて選んだ結果である。
TPSはよく「斎藤歩の個人劇団」と思われているが(笑)、公益法人。
北海道の演劇のため「創造普及、人材育成、海外(国際)交流」という3本柱で動いています、とのこと。(←歩さん、平田さんより)

今回の「演劇シーズン」について米屋さんはどう思うか、について。
演劇シーズンは「100人のプロの演劇人が演劇で食べていける」ことを掲げているが、この呼びかけについては疑問。
そこにはそれを支える「万単位のお客さん」の存在が必要である。
確実に良いものが見せられるプロがいるからお客さんが見てくれ、
お客さんが大勢見てくれるからこそ演劇のプロとして活躍できる人々がいる、という、
お客さんと演劇人とは「にわとりと卵の関係」。
札幌という「地域」全体として演劇をどうしていくのかという選択をこれからしていかなければならないだろう。
一方で、こんなことがやれるのは「札幌」ならでは。東京じゃ情報が多すぎてきっと埋もれてしまうでしょう、とも。

歩さん→「この街にはこんな作品が必要じゃないのか、ということを掲げていかなくちゃいけないんですね。」


→レポートAに続きます!
posted by 研究員まゆ at 06:35| Comment(0) | アーツ・マネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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